ホテルエステの現場で気づいた、心をほどく“ひと言”の力

私はかつて、ホテル内のエステサロンで勤務していた経験があります。
ホテルという場所は、多くのお客様にとって“一期一会”。
国内外から様々な方が訪れ、数日の滞在の中で限られた時間しか関わることができません。だからこそ、スタッフの一言が、その方の旅の思い出に深く残ることを何度も目の当たりにしてきました。

ある日、チェックインに立ち寄られたお客様にフロントの方が「今の時期は、お部屋から夕日がとてもきれいに見えるんですよ」と声をかけていました。そのお客様は、とても笑顔になり、「教えてくれてありがとうございます」と返し、そこから会話がはずんでいました。何気ないやりとりでしたが、その場の空気が一気に和らぎ、まるで知人に話しかけられたような安心感が広がっていました。

このとき私は、「一期一会だからこそ、一言の重みは大きい」と強く感じました。知らない土地では自分から相談するのに勇気が要りますが、先に「頼っていいんですよ」と声をかけてもらえることで、安心して心を開けるのです。
その学びは、今のエステサロンでの接客にも生きています。初めてご来店されるお客様は、楽しみな気持ちと同じくらい「少し緊張」や「恥ずかしさ」を抱えています。私は必ず、施術前に「今日はどんなことでも遠慮なくお話しくださいね」「ここではゆっくり力を抜いていただければ大丈夫ですよ」とお伝えするようにしています。
すると、お客様の表情が自然にやわらぎ、「実は肌のくすみが気になっていて…」「普段こういうケアをしているのですが、合っているか不安で…」などと、会話のきっかけがつかめるのです。その瞬間に、“ここなら安心できる”と感じていただけたのだと、セラピストとして嬉しく思うのです。

ホテルは一期一会、サロンは“長いお付き合い”。
だからこそ、ホテルで学んだ“特別感を生むひと言”を、日々のサロンワークの中で大切にしています。お客様にとって「ここなら気軽に相談できる」と思える場所でありたい──それが、ホテルエステで培った経験から私が一番大切にしていることです。

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