ホテルエステの現場で気づいた“ホスピタリティ”

私は以前、ホテル内のエステサロンで施術をしていたことがあることをお話しました。
ある日、50代前半の女性のお客様が、少し照れた表情で見えられました。この日はパートナーからの贈り物としてスパを利用されるとのこと。日頃の感謝を込めたギフトに、嬉しさと少しの照れが入り混じった複雑な気持ちが伝わってきました。

私はその思いに寄り添い、こう声をかけました。
「日頃からパートナーのために頑張っていらっしゃいますね。今日はその分、ご自身をしっかりねぎらって、特別な時間を楽しんでくださいね」
その瞬間、お客様は小さく笑みを浮かべられ、安心した様子を見せてくださいました。

一定時間お客様と二人で同じ空間にいるからでしょうか。不思議なことに、施術が進むにつれてお肌の状態や呼吸のリズム――言葉にせずともお客様の気持ちや状態が自然と伝わってくるのです。その感覚を大切にしながら、施術中も体調やお好みに合わせて声かけを重ねますと、お客様は安心して身を委ねてくださいます。
そのお客様は、「特別な日にふさわしい体験になりました。また、来られるように明日から頑張りますね。」とおっしゃってくださいました。

ホテルスパは一期一会ですが、その短い時間の中でも信頼関係を築き、安心感と特別感を届けることができます。この学びを、私はサロンでの施術にも生かし、長く続くお客様との信頼関係を育てたいと考えています。

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